読書感想文(関田涙)

関田 涙(せきた・なみだ)

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YouTubeを始めました。 オリジナルのショートショートを朗読(音声合成)しています。 ジャンルは、SF、ホラー、ミステリー、ファンタジー、ユーモアなどのエンターテインメント系です。 www.youtube.com

書名一覧

絶版、品切重版未定、残部僅少、限定版、自費出版、高価な本、非売品など、少しだけ手に入れにくい本の感想文を書いています。ほとんどが海外文学、翻訳小説です。

ミステリーっぽい短編小説

海外の、ミステリー作家以外が書いたミステリーっぽい短編小説を紹介しています。

『六番目の男』フランク・グルーバー

Fort Starvation(1953)Frank Gruber フランク・グルーバーは、ミステリーを中心に数多くの作品を残したパルプ作家で、日本ではジョニー・フレッチャーとサム・C・クラッグのコンビが活躍するシリーズが最も有名でしょうか。こちらは現在でも未訳の作品が…

『ポドロ島』L・P・ハートリー

L. P. Hartley L・P・ハートリーの『ポドロ島』(写真)は「KAWADE MYSTERY」の一冊として刊行されました。 KAWADE MYSTERYは装幀もイラストも可愛いのですが、マイナーな作家が多かったせいか、二年ほどでなくなってしまいました(わずか十一冊刊行された…

『バートルビーと仲間たち』エンリーケ・ビラ=マタス

Bartleby y compañía(2000)Enrique Vila-Matas 僕は以前から、作品を生み出さなくなった芸術家に興味がありました。 形として残さなくなったのか、創造すること自体をやめてしまったのか、はたまた、別の形を選択したのか。 人によって事情は異なるでしょ…

『北ホテル』ウージェーヌ・ダビ

L'Hôtel du Nord(1929)Eugène Dabit ウージェーヌ・ダビの『北ホテル』(写真)は、僅か三年の間に三笠書房、角川文庫、新潮文庫から刊行されました。訳はすべて岩田豊雄(獅子文六)です。 マルセル・カルネ監督の映画『北ホテル』が日本で公開されたのが…

『むずかしい愛』

アンソロジーというと、ついついホラーやSF、ミステリーを思い浮かべてしまいます。しかし、それが主流かといわれると何ともいえません。 恋愛小説は、僕が最も苦手とするジャンルなので、余りかかわってきませんでしたが、ひょっとするとそちらの方が読者…

『教授の家』ウィラ・キャザー

The Professor's House(1925)Willa Cather 絶版の本の感想文を書いていると、「この本は復刊されそうだな」とか「この作家は再評価されるかも」なんて思うときがあり、その予感は結構当たります。 ウィラ・キャザーの『おお開拓者よ!』の感想を書いたのは…

つながる海外文学 ―初心者におすすめする連想読書法

「これから海外文学を読んでみたいと思っているけど、何を読んでよいのか分からない」方のために「つながりで選ぶ海外文学」を紹介しています。

『残虐行為展覧会』J・G・バラード

The Atrocity Exhibition(1970)J. G. Ballard 一九六〇年代、ニューウェーブと呼ばれる新しいSF小説が生まれました。その代表的な存在がJ・G・バラードです。 彼によると、それまでのSFは狭く、制約された領域で、宇宙や未来を舞台にした単調な形式…

海外文学におけるハゲ

注:二〇一九年九月二十七日に書いた記事に、新しいもの(NEWマーク付)を随時追加しています。そのたびに日付を更新します。 人生において、死、性、病、恋愛、人間関係と同じくらい悩ましい問題であるにもかかわらず、文学は「ハゲ」をきちんと扱ってこな…

『皇帝に捧げる乳歯』フリッツ・フォン・ヘルツマノヴスキィ=オルランド

Der Gaulschreck im Rosennetz(1927)Fritz von Herzmanovsky-Orlando フリッツ・フォン・ヘルツマノヴスキィ=オルランドは生前、無名で、唯一刊行された小説が『皇帝に捧げる乳歯』(写真)です。 原題は「薔薇の網目にからめとられた駑馬のお化け」という…

『わが夢の女』マッシモ・ボンテンペッリ

Massimo Bontempelli ちくま文庫のマッシモ・ボンテンペッリ『わが夢の女』(写真)は復刊です。 最も古い版は、一九四一年の『我が夢の女』(河出書房)で、岩崎純孝、柏熊達生、下位英一の共訳となっています。その後、「世界ユーモア文学全集」5巻に入り…

『月で発見された遺書』ハーマン・ウォーク

The "Lomokome" Papers(1956)Herman Wouk『月で発見された遺書』(写真)は、たった二冊だけ刊行された「創樹ファンタジー」の一冊です。 ちなみに、もう一冊は、チャールズ・G・フィニーの『ラーオ博士のサーカス』です。両者には特に共通点がなく、この…

『トロイメライ』チャールズ・ボーモント

Charles Beaumont テレビドラマ『ミステリー・ゾーン』(The Twilight Zone)の脚本を数多く書き、レイ・ブラッドベリに「自分に最も近い作家」として名前を挙げられたチャールズ・ボーモントは、一九六七年に三十八歳の若さで亡くなりました。 そのせいか、…

『リラの門』ルネ・ファレ

La Grande Ceinture(1956)René Fallet ルネ・クレール監督の映画『リラの門』(Porte des Lilas)の原作です。 小説の原題は「グランドサンチュール(パリの郊外を走るフランス国鉄の大環状線)」という意味ですが、翻訳された際は既に映画化されていたた…

『目覚め』ケイト・ショパン

The Awakening(1899)Kate Chopin ケイト・ショパンは、フランス貴族の血を引くセントルイスのクレオールです。六人の子を抱えたまま若くして未亡人となった彼女は、収入にもなり、心の癒やしにもなる小説の執筆を始めます。 短編小説でデビューしたショパ…

『10月3日の目撃者』アヴラム・デイヴィッドスン

Or All the Seas with Oysters(1962)Avram Davidson アヴラム・デイヴィッドスンの長編は、エラリー・クイーンの代筆を除くと一作しか翻訳されていません。世間の評価も「短編の傑作をいくつも書いているが、長編は全く売れなかった作家」という感じではな…

『唇からナイフ』『クウェート大作戦』ピーター・オドンネル

Modesty Blaise(1965)/Sabre-Tooth(1966)Peter O'Donnell ピーター・オドンネルの「モデスティ・ブレイズ」シリーズは、小説より先に漫画が刊行され、人気を博しました(作画は、ジム・ホールダウェイ。彼の死後は、エンリケ・バディア・ロメロに交代し…

『山彦の家』T・F・ポイス

T. F. Powys T・F・ポイスの『山彦の家』(写真)は、昭和十年(一九三五年)に『ポイス短篇選集』として健文社より刊行された短編集の再編集版です。どちらも収録作品は同じです(全二十八編)。『山彦の家』は、『The House With the Echo』『Fables』『…

『小鼠 ニューヨークを侵略』『小鼠 月世界を征服』『小鼠 ウォール街を撹乱』『小鼠 油田を掘りあてる』レナード・ウィバーリー

The Mouse That Roared(1955)/The Mouse on the Moon(1962)/The Mouse on Wall Street(1969)/The Mouse That Saved the West(1981)Leonard Wibberley レナード・ウィバーリーの「小鼠」シリーズは、五作書かれましたが、二作目の『Beware of the Mou…

『失なわれた虹とバラと』ネヴィル・シュート

The Rainbow and the Rose(1958)Nevil Shute 講談社の「ウイークエンド・ブックス」は、一九六六年から一九七〇年まで刊行された叢書です。「“面白さ”と“たのしさ”を世界から集めた」というよく分からないキャッチコピーが書かれています。要するに「週末…

『さまよえる宇宙船』スティーヴ・ジャクソン

Starship Traveller(1984)Steve Jackson 先日、スティーヴ・ジャクソン(※)とイアン・リビングストンの『火吹山の魔法使い』を何十年かぶりに遊び返しました。 サイコロと紙と鉛筆を用意して、数値を加減したり、チャートをメモしたり、マッピングしたり…

『世界ショートショート傑作選』

一九七〇〜一九八〇年代にショートショートが流行していたことは以前も書きました。各務三郎編の『世界ショートショート傑作選』(写真)も、その時代に刊行された海外のショートショート集です。 ショートショートの定義を巡る議論は、うんざりするほど繰り…

『幌馬車』エマーソン・ホッフ

The Covered Wagon(1922)Emerson Hough『幌馬車』という邦題がつけられた西部劇は、二種類あります。 ひとつは一九二三年に公開されたジェイムズ・クルーズ監督のサイレント映画で、もうひとつが一九五〇年に公開されたジョン・フォード監督の作品です。 …

『愛しているといってくれ』マージョリー・ケロッグ

Tell Me That You Love Me, Junie Moon(1968)Marjorie Kellogg マージョリー・ケロッグの『愛しているといってくれ』(写真)は、ライザ・ミネリ主演の映画『愛しのジュニー・ムーン』(※)の原作です。といっても、映画は日本未公開ですし、僕も未見です。…

『すばらしいO』ジェイムズ・サーバー

The Wonderful O(1957)James Thurber ジョルジュ・ペレックの『煙滅』は「e」を使わずに執筆され(翻訳は「い段」抜き)、筒井康隆の『残像に口紅を』は使える文字が少しずつ減ってゆくという制約のもとに書かれました。 また、未訳ですが、ウォルター・…

『スイスのロビンソン』ヨハン・ダビット・ウィース

Der Schweizerische Robinson(1812)Johann David Wyss 主人公が孤島に漂流し、サバイバルする文学を表す「ロビンソナード(Robinsonade)」という用語は、ダニエル・デフォーの『ロビンソン・クルーソー』(1719)が書かれた十二年後にヨハン・ゴットフリ…

『リリアンと悪党ども』トニー・ケンリック

Stealing Lillian(1972)Tony Kenrick 海外のユーモア小説ファンとしては、主に一九七〇〜一九八〇年代に、角川文庫から大量に刊行されたトニー・ケンリックを無視するわけにはゆきません(※)。 ケンリックは一九九一年以降、小説を発表しておらず、英語版…