YouTubeを始めました。 オリジナルのショートショートを朗読(音声合成)しています。 ジャンルは、SF、ホラー、ミステリー、ファンタジー、ユーモアなどのエンターテインメント系です。 www.youtube.com
絶版、品切重版未定、残部僅少、限定版、自費出版、高価な本、非売品など、少しだけ手に入れにくい本の感想文を書いています。ほとんどが海外文学、翻訳小説です。
注:二〇一九年九月二十七日に書いた記事に、新しいもの(NEWマーク付)を随時追加しています。そのたびに日付を更新します。 人生において、死、性、病、恋愛、人間関係と同じくらい悩ましい問題であるにもかかわらず、文学は「ハゲ」をきちんと扱ってこな…
Der Gaulschreck im Rosennetz(1927)Fritz von Herzmanovsky-Orlando フリッツ・フォン・ヘルツマノヴスキィ=オルランドは生前、無名で、唯一刊行された小説が『皇帝に捧げる乳歯』(写真)です。 原題は「薔薇の網目にからめとられた駑馬のお化け」という…
Massimo Bontempelli ちくま文庫のマッシモ・ボンテンペッリ『わが夢の女』(写真)は復刊です。 最も古い版は、一九四一年の『我が夢の女』(河出書房)で、岩崎純孝、柏熊達生、下位英一の共訳となっています。その後、「世界ユーモア文学全集」5巻に入り…
The "Lomokome" Papers(1956)Herman Wouk『月で発見された遺書』(写真)は、たった二冊だけ刊行された「創樹ファンタジー」の一冊です。 ちなみに、もう一冊は、チャールズ・G・フィニーの『ラーオ博士のサーカス』です。両者には特に共通点がなく、この…
Charles Beaumont テレビドラマ『ミステリー・ゾーン』(The Twilight Zone)の脚本を数多く書き、レイ・ブラッドベリに「自分に最も近い作家」として名前を挙げられたチャールズ・ボーモントは、一九六七年に三十八歳の若さで亡くなりました。 そのせいか、…
La Grande Ceinture(1956)René Fallet ルネ・クレール監督の映画『リラの門』(Porte des Lilas)の原作です。 小説の原題は「グランドサンチュール(パリの郊外を走るフランス国鉄の大環状線)」という意味ですが、翻訳された際は既に映画化されていたた…
The Awakening(1899)Kate Chopin ケイト・ショパンは、フランス貴族の血を引くセントルイスのクレオールです。六人の子を抱えたまま若くして未亡人となった彼女は、収入にもなり、心の癒やしにもなる小説の執筆を始めます。 短編小説でデビューしたショパ…
Or All the Seas with Oysters(1962)Avram Davidson アヴラム・デイヴィッドスンの長編は、エラリー・クイーンの代筆を除くと一作しか翻訳されていません。世間の評価も「短編の傑作をいくつも書いているが、長編は全く売れなかった作家」という感じではな…
Modesty Blaise(1965)/Sabre-Tooth(1966)Peter O'Donnell ピーター・オドンネルの「モデスティ・ブレイズ」シリーズは、小説より先に漫画が刊行され、人気を博しました(作画は、ジム・ホールダウェイ。彼の死後は、エンリケ・バディア・ロメロに交代し…
T. F. Powys T・F・ポイスの『山彦の家』(写真)は、昭和十年(一九三五年)に『ポイス短篇選集』として健文社より刊行された短編集の再編集版です。どちらも収録作品は同じです(全二十八編)。『山彦の家』は、『The House With the Echo』『Fables』『…
The Mouse That Roared(1955)/The Mouse on the Moon(1962)/The Mouse on Wall Street(1969)/The Mouse That Saved the West(1981)Leonard Wibberley レナード・ウィバーリーの「小鼠」シリーズは、五作書かれましたが、二作目の『Beware of the Mou…
The Rainbow and the Rose(1958)Nevil Shute 講談社の「ウイークエンド・ブックス」は、一九六六年から一九七〇年まで刊行された叢書です。「“面白さ”と“たのしさ”を世界から集めた」というよく分からないキャッチコピーが書かれています。要するに「週末…
Starship Traveller(1984)Steve Jackson 先日、スティーヴ・ジャクソン(※)とイアン・リビングストンの『火吹山の魔法使い』を何十年かぶりに遊び返しました。 サイコロと紙と鉛筆を用意して、数値を加減したり、チャートをメモしたり、マッピングしたり…
一九七〇〜一九八〇年代にショートショートが流行していたことは以前も書きました。各務三郎編の『世界ショートショート傑作選』(写真)も、その時代に刊行された海外のショートショート集です。 ショートショートの定義を巡る議論は、うんざりするほど繰り…
海外の、ミステリー作家以外が書いたミステリーっぽい短編小説を紹介しています。
The Covered Wagon(1922)Emerson Hough『幌馬車』という邦題がつけられた西部劇は、二種類あります。 ひとつは一九二三年に公開されたジェイムズ・クルーズ監督のサイレント映画で、もうひとつが一九五〇年に公開されたジョン・フォード監督の作品です。 …
Tell Me That You Love Me, Junie Moon(1968)Marjorie Kellogg マージョリー・ケロッグの『愛しているといってくれ』(写真)は、ライザ・ミネリ主演の映画『愛しのジュニー・ムーン』(※)の原作です。といっても、映画は日本未公開ですし、僕も未見です。…
The Wonderful O(1957)James Thurber ジョルジュ・ペレックの『煙滅』は「e」を使わずに執筆され(翻訳は「い段」抜き)、筒井康隆の『残像に口紅を』は使える文字が少しずつ減ってゆくという制約のもとに書かれました。 また、未訳ですが、ウォルター・…
Der Schweizerische Robinson(1812)Johann David Wyss 主人公が孤島に漂流し、サバイバルする文学を表す「ロビンソナード(Robinsonade)」という用語は、ダニエル・デフォーの『ロビンソン・クルーソー』(1719)が書かれた十二年後にヨハン・ゴットフリ…
Stealing Lillian(1972)Tony Kenrick 海外のユーモア小説ファンとしては、主に一九七〇〜一九八〇年代に、角川文庫から大量に刊行されたトニー・ケンリックを無視するわけにはゆきません(※)。 ケンリックは一九九一年以降、小説を発表しておらず、英語版…
Lust(1989)Elfriede Jelinek エルフリーデ・イェリネクは、二〇〇四年にノーベル文学賞を受賞しています。しかし、我が国ではほとんど話題になりませんでした。それどころか、「ポルノグラフィだ」と公然と批難する人までいて、何となく読まずにやり過ごし…
Happy Birthday, Türke!(1985)/Ein Mann, ein Mord(1991)Jakob Arjouni ヤーコプ・アルユーニは、ドイツのミステリー作家で、トルコ人探偵カヤンカヤを主人公としたシリーズで知られています。 トルコ人を主役にしたせいか、アルユーニは長い間、「トル…
ユーモア小説の好きな僕は、当然ながら、ほら話(Tall Tale)にも目がありません。 ほら話は世界各国に存在しますが、やはりアメリカの伝統的な民話を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。 それらが日本語で読める本として、『ニグロ民話集』『ちょっ…
Любен Дилов / Светослав Славчев『そうはいっても飛ぶのはやさしい』は、国籍も時代も異なるふたりの作家を一冊にまとめた不思議な書籍でしたが、『緑色の耳』(写真)は、「ブルガリア」「SF作家」という共通点のあるふたりの短編を集めた書籍です。 ス…
Burhān al-ʿasal(2007)سلوى النعيمي『蜜の証拠』(写真)は、シリア出身のサルワ・アル・ネイミ(生年不詳)がレバノンの出版社から刊行した性愛小説です。 発行されるや否や話題になったそうですが、当然ながらアラビア語圏のほとんどの国では禁書にされ…
Tales from Underwood(1952)David H. Keller『アンダーウッドの怪』(写真)は、デイヴィッド・H・ケラーの日本で唯一の商業出版の単著です(SF資料研究会から『頭脳の図書館』という短編集は出ている)。 ケラーの本業は精神科医で、文学は趣味として…
Mathias Sandorf(1885)Jules Verne ジュール・ヴェルヌは、エドガー・アラン・ポーの『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』を下敷きにした『氷のスフィンクス』を書いていますが、それ以前にもっと有名な作品を素材にしています。 それ…
La femme et le Pantin(1898)Pierre Louÿs この本は、いかにも角川文庫らしく映画の公開に合わせ二回タイトルを変えています。 元々は原題どおり『女と人形』という邦題でしたが、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の映画の邦題が『私の体に悪魔がいる』(19…