読書感想文(関田涙)

関田 涙(せきた・なみだ)

ベルギー

『殺人者の健康法』アメリー・ノートン

Hygiène de l'assassin(1992)Amélie Nothomb フィリップ・ソレルスの『数』は、フランス語のテクストに漢字が混じっていると書きましたが、そういえば僕は、アメリー・ノートンの署名入り『殺人者の健康法』を持っています(写真)。 ノートンは、一九九六…

『新カンタベリー物語』ジャン・レイ

Les Derniers Contes de Canterbury(1944)Jean Ray ジェフリー・チョーサーの『カンタベリー物語』は、古典だけあってパロディ作品も数多く存在します。 巡礼者がひとつずつ物語るという形式だけを真似たものから、ヘンリー・デュードニーの『カンタベリー…

『かも猟』ユゴー・クラウス

De Metsiers(1950)Hugo Claus ジュリアン・グラックは二十八歳で『アルゴールの城にて』を出版し、ジャン=ルネ・ユグナンは二十四歳で『荒れた海辺』を出版しましたが、ユゴー・クラウスが『かも猟』を出版したのは二十一歳のときでした(執筆したのは十九…

「タンタンの冒険旅行」エルジェ

Les Aventures de Tintin(1929-1986)Hergé はじめにお断りしておきますが、今回は読書感想文ではありません。 また、内容は、かつて自分のホームページに掲載していた記事の焼き直しです(誤って消してしまった)。蒐集に役立つかも知れないので、再度、記…

『ミセス・スティーヴンズは人魚の歌を聞く』メイ・サートン

Mrs. Stevens Hears the Mermaids Singing(1965)May Sarton メイ・サートンといえば、おばあさんになってからの日記やエッセイがよく知られていますが、勿論、若い頃から詩や小説を沢山書いています(日本人でいうと、森茉莉みたいな感じか。『甘い蜜の部…

『怪盗クモ団』『地下の怪寺院』『悪魔のベッド』ジャン・レイ

Harry Dickson(1932-1938)Jean Ray「名探偵ハリー・ディクソン」は、『幽霊の書』『マルペルチュイ』『新カンタベリー物語』といった幻想味の強い小説を得意としたジャン・レイ(※1)が、若い頃に手がけた少年向けのミステリーシリーズです。 ハリー・デ…

『午後四時の男』アメリー・ノートン

Les Catilinaires(1995)Amélie Nothomb アメリー・ノートン(※)は一九六六年、神戸に生まれました。その後、帰国しましたが、再来日して日本の企業に勤めたことがあるそうです。そのときの経験が、ベストセラーになった『畏れ慄いて』(日本の企業の内情…

「異色作家短篇集」

二度目の復刊となった早川書房の「異色作家短篇集」が来月で完結します。洒落た装幀に魅かれて「ちょっと高いなあ」と思いつつ買い続けており、結局、全巻揃えてしまいそうです(写真)。 前の版を持っているのもあり、別の短編集などで読んだ作品もありまし…