読書感想文(関田涙)

関田 涙(せきた・なみだ)

スペイン

『バートルビーと仲間たち』エンリーケ・ビラ=マタス

Bartleby y compañía(2000)Enrique Vila-Matas 僕は以前から、作品を生み出さなくなった芸術家に興味がありました。 形として残さなくなったのか、創造すること自体をやめてしまったのか、はたまた、別の形を選択したのか。 人によって事情は異なるでしょ…

『ラサリーリョ・デ・トルメスの新しい遍歴』カミロ・ホセ・セラ

Nuevas andanzas y desventuras de Lazarillo de Tormes(1944)Camilo José Cela 十六世紀半ばのスペインで、作者不詳の小説が突如ベストセラーになりました。それが『ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯』(1554)です。 文庫本にして百頁強という短い物語…

『冷たい肌』アルベール・サンチェス=ピニョル

La pell freda(2002)Albert Sánchez Piñol ベルナルド・アチャーガの『オババコアック』のときにも書きましたが、アルベール・サンチェス=ピニョルの『冷たい肌』(写真)はスペイン文学(カスティーリャ語。話者数は約四億二千万人)ではなく、カタルーニ…

『オババコアック』ベルナルド・アチャーガ

Obabakoak(1988)Bernardo Atxaga ベルナルド・アチャーガは、バスクの作家です。 このブログは「国と地域」で分類しているので、どうしようか悩んだのですが、一応「スペイン」にしておきます。アチャーガは、スペイン語でも小説を書いていますし、バスク…

『ペルシーレス』ミゲル・デ・セルバンテス・サアベドラ

Los trabajos de Persiles y Sigismunda: historia septentrional(1617)Miguel de Cervantes Saavedra ミゲル・デ・セルバンテス・サアベドラの遺作で、死後に刊行された長編小説です。原題を直訳すると『ペルシーレスとシヒスムンダの苦難:北辺物語』と…

『贋作ドン・キホーテ』アロンソ・フェルナンデス・デ・アベリャネーダ

Segundo tomo del Ingenioso Hidalgo don Quijote de la Mancha(1614)Alonso Fernández de Avellaneda『ドン・キホーテ』が世界で最も有名な小説だとすると、最も有名な偽作はアロンソ・フェルナンデス・デ・アベリャネーダの『贋作ドン・キホーテ』(写真…