読書感想文(関田涙)

関田 涙(せきた・なみだ)

アルゼンチン

『英雄たちと墓』エルネスト・サバト

Sobre héroes y tumbas(1961)Ernesto Sabato エルネスト・サバトの『英雄たちと墓』(写真)は、世界の目がラテンアメリカ文学に注がれるきっかけとなったといわれるほど重要な作品です。 処女作の『トンネル』から十三年をおいて発表されただけあって、質…

『トンネル』エルネスト・サバト

El túnel(1948)Ernesto Sabato ふと気づくと、昨年、一昨年とアルゼンチン文学を一冊も扱っていませんでした。重要な作家を数多く輩出している国の文学に、二年以上も触れなかったことに自分でも驚いています(感想を書いていないだけで読んではいるけど)…

『豚の戦記』アドルフォ・ビオイ=カサレス

Diario de la guerra del cerdo(1969)Adolfo Bioy Casares アドルフォ・ビオイ=カサレスは、ホルヘ・ルイス・ボルヘスと大変仲がよく、多くの共著があります(オノリオ・ブストス=ドメック名義)。 ふたりとも探偵小説が好きで、『ドン・イシドロ・パロデ…

『サンタ・エビータ』トマス・エロイ・マルティネス

Santa Evita(1995)Tomás Eloy Martínez エビータことマリア・エバ・ドゥアルテ・デ・ペロンが三十三歳の若さで子宮癌によって亡くなったのが一九五二年。 その後、一九八〇年代になって、アルゼンチンではエビータ関連の書籍や映画が数多く世に出ました。…

『石蹴り遊び』フリオ・コルタサル

Rayuela(1963)Julio Cortázar フリオ・コルタサルの長編『石蹴り遊び』最大の特徴は、二通りの読み方ができる点にあります。 ひとつは、一、二部(1章から56章まで)を順番に読んでいく方法。もうひとつは、作者の指示に従って全155章をいったりきたりし…

『天使の恥部』マヌエル・プイグ

Pubis Angelical(1979)Manuel Puig 本当にどーでもいい話なんですが、これまで読書感想文で取り上げた本を五十音順に並べたところ、「タ行」と「ナ行」の本が一冊もありませんでした。たまたまでしょうか。それとも、タ行・ナ行で始まる書名は少ないのでし…

『かくも激しく甘きニカラグア』フリオ・コルタサル

Nicaragua tan violentamente dulce(1984)Julio Cortázar 今回は、小学生の夏休みの宿題用の読書感想文を書いてみます。 八月の終わりになっても、感想文が書けないお子さんがいらっしゃいましたら、以下の文を、適当にアレンジしていただければよろしいか…