アメリカ
Baron Münchhausen's New Scientific Adventures(1915)Hugo Gernsback ヒューゴー賞は、SFの賞としては最も古く、最も知名度が高いのですが、その名の元となったヒューゴー・ガーンズバックの小説を読んだことがある人は、どれくらいいるでしょうか。 日…
Life Among the Savages(1953)Shirley Jackson ここのところ、ちょっとしたシャーリイ・ジャクスンブームらしく、長編や短編集の新訳が出版され続けています(※)。ここ一年以内にも『絞首人』『日時計』『なんでもない一日』(全訳ではない)が新たに訳さ…
Prose Bowl(1980)Bill Pronzini, Barry N. Malzberg ビル・プロンジーニは、「名無しの探偵」シリーズで有名なミステリー作家。ただし、僕は推理小説をほとんど読まないので、エラリー・クイーン編の『新 世界傑作推理12選』に収録されている「朝飯前の仕…
Kiss Tomorrow Goodbye(1948)Horace McCoy ホレス・マッコイは、アメリカよりもフランスで先に評価された作家です。 実存主義の元祖としてジャン=ポール・サルトルらに絶賛され、アーネスト・ヘミングウェイ、ウィリアム・フォークナー、ジョン・スタイン…
Foxfire: Confessions of a Girl Gang(1993)Joyce Carol Oates ノーベル文学賞の発表が近づくと、よく名前があがるのが、ジョイス・キャロル・オーツ。 何を読んでも面白い、外れの少ない作家のひとりですが、多作かつ様々なジャンル・長さの小説を書くタ…
The New Atom's Bombshell(1980)Robert Browne(a.k.a. Marvin Karlins) ロバート・ブラウンの『プレーボール! 2002年』(写真)は、タイトルやカバーイラストをみると「宇宙を舞台に異星人と野球で対決するSF小説」と思われるかも知れません(寺…
Damon Runyon デイモン・ラニアンは、ジャーナリスト出身で、スラングを多用した生き生きとした語り口の短編を得意とするという意味で、リング・ラードナーと共通点があります(ふたりとも、野球の記者としての功績が認められ、J・G・テイラー・スピンク賞…
So the Wind Won't Blow It All Away(1982)Richard Brautigan 翻訳文学を楽しむ者にとって、リチャード・ブローティガンといえば藤本和子です。その結びつきが強すぎて、果たしてどちらを好きなのか分からなくなるくらい。一九七〇年代、本国では忘れられ…
Reflections in a Golden Eye(1941)Carson McCullers 今からちょうど三年前、二〇一二年最後の読書感想文がカーソン・マッカラーズの『心は孤独な狩人』でした。今年最後の更新では、彼女の次の作品である『黄金の眼に映るもの』(写真)を取り上げてみま…
John Barleycorn(1913)Jack London ジャック・ロンドンは、何といっても『野性の呼び声(荒野の呼び声)』と『白い牙』の二作が有名なので、彼をよく知らない人はアーネスト・トンプソン・シートン(※)のような作家だと思っているかも知れません。 しかし…
Mark Twain's (Burlesque) Autobiography and First Romance(1871)Mark Twain 今は亡き旺文社文庫は、一九六五年に誕生し、二十二年間で約千百冊が発行されました。 サンリオ文庫より二か月早い一九八七年六月に廃刊(※1)になったのですが、『マーク・ト…
The Compleat Practical Joker(1953)H. Allen Smith メジャーリーグベースボール(MLB)では、主に新入りに対して、いたずらが仕掛けられることがあります。かつてニューヨーク・ヤンキースに在籍していた松井秀喜もその餌食となり、豹柄の仮装をさせら…
The Day the Guinea-Pig Talked(1963)/The Day Jean-Pierre was Pignapped(1964)/The Day Jean-Pierre Went Round the World(1965)/The Day Jean-Pierre Joined the Circus(1969)Paul Gallico このブログには下書き機能があり、常時五十くらい記…
Love Among the Chickens(1906)P. G. Wodehouse 僕にとってP・G・ウッドハウスは、長い間、幻の作家でした。 彼の名前を知った頃、戦前の書籍や、短編が掲載された「新青年」は入手困難で、古本以外で読めるのは雑誌やアンソロジーに収録された短編か、…
The Wench is Dead(1955)Fredric Brown 僕にとってSFとはフレドリック・ブラウンの小説そのものといっても過言ではありません。 特に『発狂した宇宙』と『火星人ゴーホーム』という二大傑作は、何度読み返したでしょうか。個人的には六対四くらいで『発…
Fear and Loathing in Las Vegas: A Savage Journey to the Heart of the American Dream(1971)Hunter S. Thompson ハンター・S・トンプソンは、ゴンゾー(gonzo)ジャーナリズムの生みの親として知られています。 ゴンゾージャーナリズムがどんなものか…
How to Stop Smoking(1951)Herbert Brean 前回の『二日酔よこんにちは』で、田村隆一がハーバート・ブリーンの『あなたは酒がやめられる』(1958)から引用していましたが、これは二匹目の泥鰌です。 先に評判になったのは『あなたはタバコがやめられる』…
Bonjour, Hangover!(1958)Hassoldt Davis 先日、「セックス」の本(『SEXは必要か』)を取り上げたので、今回は「酒」の本を選んでみました。 次は「煙草」の本(『あなたはタバコがやめられる』)にしようかしらん。 ハッソルト・デイヴィスという人物…
In the Heart of the Heart of the Country(1968)William H. Gass 前回の『石の女』の原題は『In the Heart of the Country』。そして、この短編集の原題は『In the Heart of the Heart of the Country』です。Heartが二度繰り返される分だけ、奥の奥とい…
Fables for Our Time and Famous Poems Illustrated(1940)James Thurber 前回の『SEXは必要か』の注で簡単に記載したジェイムズ・サーバーの『現代イソップ/名詩に描く』ですが、訳本は主に二種類あり、どちらを買ってよいか悩む人もいると思いました…
Is Sex Necessary?: or Why You Feel the Way You Do(1929)James Thurber, E. B. White ジェイムズ・サーバーは、とても好きな作家のひとりですが、困った点は訳本の多くが傑作選だということ。 傑作選ということは、当然ながら収録作の重複が多くなります…
True Grit(1968)Charles Portis メジャーリーグベースボールとロックンロールは若い頃と変わらず親しんでいますが、以前に比べ鑑賞する量が圧倒的に減ったのが西部劇です。十代の頃は、映画やテレビ、小説において、西部劇が頻繁に目に飛び込んできたもの…
Jonathan Segal Chicken(1973)Sol Weinstein, Howard Albrecht いわずもがなですが、リチャード・バックの『かもめのジョナサン』Jonathan Livingston Seagull(1970)のパロディです。「かもめ」の方は五木寛之の訳で知られており、二〇一四年には、新た…
Мрамор(1984)Ио́сиф Бро́дский ソ連から米国に亡命し、一九八七年にノーベル文学賞を受賞したヨシフ・ブロツキーは、少々変わった経歴の持ち主です。 彼は、ソ連時代(自らは前世と呼ぶ)、共産主義国家建設のために有益な働きを何ひとつしない徒食者とし…
The Hollow Earth: the Narrative of Mason Algiers Reynolds of Virginia(1990)Rudy Rucker ルーディ・ラッカーは、一九八〇〜九〇年代に多くの訳本が発行されましたが、近頃はパッタリと翻訳が途絶えてしまいました。それどころか、フィクションもノンフ…
At the Mountains of Madness(1936)H. P. Lovecraft エドガー・アラン・ポーの『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』関連作品の二回目は『狂気の山脈にて』です。 こちらは絶版ではなく、創元推理文庫の『ラヴクラフト全集4』(写真)…
The Dice Man(1971)Luke Rhinehart カルト的な人気がある小説というと、トム・デミジョン(ジョン・スラデックとトマス・M・ディッシュの共作)の『黒いアリス』とか、ゴア・ヴィダルの『マイラ』とか、ヴェルコールの『人獣裁判』とか、チェスター・ハイ…
Mystery and Manners(1969)Flannery O'Connor フラナリー・オコナーは、とても好きな作家のひとりです。邦訳のあるものはすべて読んでいますが、やはり長編よりも短編に長けているように感じます(といっても、長編は『賢い血』と『烈しく攻むる者はこれを…
The Curious Case of Sidd Finch(1987)George Plimpton 一九八四年にデビューしたドワイト・グッデンの活躍は衝撃的でしたが、その翌年、同じニューヨーク・メッツにグッデン以上の新人投手が入団するという記事が『スポーツイラストレイテッド』(一九八…
Pal Joey(1940)John O'Hara「親友・ジョーイ」(「親友」には「パル」とルビが振ってある)は、一九三八年から一九四〇年にかけて「ニューヨーカー」に連載された書簡体小説です。見方によっては十四の章からなる連作短編小説ともいえます。 さほどボリュ…