読書感想文(関田涙)

関田 涙(せきた・なみだ)

南アフリカ

『愚者たち』ジャブロ・ンデベレ

Fools and Other Stories(1983)Njabulo Ndebele ジャブロ・ンデベレの『愚者たち』(写真)は、一九八四年に「野間アフリカ出版賞」を受賞しました。この賞はアフリカ文壇への登竜門としての役割を担っていましたが、ニ〇〇九年を最後に主催されていません…

『力の問題』ベッシー・ヘッド

A Question of Power(1973)Bessie Head ベッシー・ヘッドは、黒人の父親と白人の母親の間に生まれたカラード(混血)です。英国人の母は黒人の馬丁との子を宿したことで精神病院に入れられ、ヘッドはそこで生まれました。 やがて母は自殺し、遺してくれた…

『さあ、すわってお聞きなさい』エレン・クズワヨ

Sit Down and Listen: Stories from South Africa(1990)Ellen Kuzwayo エレン・クズワヨは、南アフリカでソーシャルワーカー、国会議員として活躍した女性です。一九八五年、七十歳を過ぎて出版した自伝『Call Me Woman』(※)が評判となり(ナディン・ゴ…

『石の女』J・M・クッツェー

In the Heart of the Country(1977)J. M. Coetzee『ダスクランド』に続くJ・M・クッツェーの長編第二作。 二冊ともスリーエーネットワークの「アフリカ文学叢書」から発行されています。「この作品だけ読めばいいや」という作家もいます。しかし、僕にと…

『敵あるいはフォー』J・M・クッツェー

Foe(1986)J. M. Coetzee 南アフリカ出身の作家J・M・クッツェーの『敵あるいはフォー』(写真)の原題である『Foe』とは、ダニエル・デフォーの本名でもあり、「敵」という意味もあります。また、この作品は『ロビンソン・クルーソー』だけでなく、同じ…