読書感想文(関田涙)

関田 涙(せきた・なみだ)

アイルランド

『小鼠 ニューヨークを侵略』『小鼠 月世界を征服』『小鼠 ウォール街を撹乱』『小鼠 油田を掘りあてる』レナード・ウィバーリー

The Mouse That Roared(1955)/The Mouse on the Moon(1962)/The Mouse on Wall Street(1969)/The Mouse That Saved the West(1981)Leonard Wibberley レナード・ウィバーリーの「小鼠」シリーズは、五作書かれましたが、二作目の『Beware of the Mou…

『フェリシアの旅』ウィリアム・トレヴァー

Felicia's Journey(1994)William Trevor 前回同様、短編小説の名手とされる作家の「長編小説」を取り上げてみます。 ウィリアム・トレヴァーは、訳本の多くが短編集(日本オリジナル編集を含む)で、アンソロジーや雑誌にも数多くの作品が収録されています…

『マーフィ』サミュエル・ベケット

Murphy(1938)Samuel Beckett 各国が生んだ文学作品を質と量の面で比較するとしたら、アイルランドは量において他国に敵わないでしょう。しかし、質、特に一風変わった作家・作品を揃えているという意味で、十分世界の頂点に立てる資格を有していると思いま…

『奴婢訓』ジョナサン・スウィフト

Directions to Servants(1745)Jonathan Swift『奴婢訓』(写真)は、「ぬひくん」と読みます。 簡単にいうと「召使いに向けた指示書」ですが、そこは稀代の捻くれ者ジョナサン・スウィフトですから、まともなものを書くはずはありません。 スウィフトは、…

『ユニコーン』アイリス・マードック

The Unicorn(1963)Iris Murdoch アイリス・マードックの本を最後に買ったのはいつかと思って本棚を捜索してみたところ、遺作の『ジャクソンのジレンマ』(1995)が出てきました。この本が二〇〇二年刊ですから、もう十年以上経っていることになります。 帯…

『センチメンタル・ジャーニー』ロレンス・スターン

A Sentimental Journey Through France and Italy(1768)Laurence Sterne 僕が持っているのは岩波文庫版(昭和二十七年刊)(写真)ですが、旧字旧仮名遣いなので若い人には読みづらいかも知れません。後に復刻されたみたいですし、ほかにも数種類、翻訳が…

「異色作家短篇集」

二度目の復刊となった早川書房の「異色作家短篇集」が来月で完結します。洒落た装幀に魅かれて「ちょっと高いなあ」と思いつつ買い続けており、結局、全巻揃えてしまいそうです(写真)。 前の版を持っているのもあり、別の短編集などで読んだ作品もありまし…